隣の不器用王子のご飯係はじめました
──だけどもしかしたら……そんな関係は今日で終わってしまうのかもしれない。
放課後。私は由梨に指定された通り、学校の屋上へ来ていた。
屋上は昼休みにお弁当を食べる場所としては人気だけど、その他の時間は基本誰もいない。
周りに聞かれたくない話をするにはうってつけというわけだ。
15分ぐらい一人で風に当たっているうちに、ようやく由梨がやってきた。
「ごめんごめん。呼び出しておきながら遅くなっちゃったわね。掃除の班のメンバー二人もサボりやがったのよ」
由梨は私がするのと同じように、フェンスに体を預けるようにして、グラウンドの方を見下ろす。
しばらくどちらも話さず気まずい沈黙が流れていたけど、由梨が「ねえ」と切り出した。
「在花、わたしに何か言うことない?」
どきっと心臓が跳ねる。
だめ、逃げるな私。