隣の不器用王子のご飯係はじめました
私はうなずいてから一度大きく深呼吸をして、まっすぐ由梨を見た。
「ごめんっ!私、由梨に謝らないといけないことがあるの」
ぎゅっと拳を握ると、手がかなり汗ばんでいるのがわかる。
「私、遠坂くんのこと……好きになっちゃった」
「え?」
「由梨の気持ち知ってるのに、本当にごめん」
昨日、由梨からメッセージを受け取ってから色々と考えていた。
最初はどうやって誤魔化そうかと考えていたけど、そのうち、遠坂くんへの気持ちを隠したまま由梨と一緒にいることは不可能だと悟った。
だから、正直に言う決意をしたのだ。
これで由梨との仲が壊れてしまったらそれまで。私が悪いのだから仕方がない。
私は怖くなってギュッと目を瞑った。
すると突然、額にはじかれたような痛みが走った。
「あいたっ」
「何よそんなことだったの⁉びっくりさせないでよ!」
私に強めにデコピンした由梨が泣きそうな声でそう言って、その場に座り込んだ。