隣の不器用王子のご飯係はじめました
「でも、実はわたしも在花に謝らなきゃいけないことがあるの」
「ん?」
「わたし前、遠坂くんと付き合いたいみたいなこと言ったよね。だから在花に協力してってお願いもして」
「う、うん」
「あれ、勘違いだったみたい」
「……えっと……どういうこと?」
由梨は清々しい笑顔を浮かべる。
「だからね、わたしの遠坂くんに対する『好き』は、アイドルとかに対する『好き』で、恋人になりたいとかではなかったみたい。どっちかと言えば推しみたいな」
「え、そうなの?」
意外な告白に、私は変な声をあげる。
「在花に協力してもらって、遠坂くんとだいぶお近づきになったじゃない?もちろん嬉しかったんだけど……何て言うかその、追っかけてるアイドルのプライベートを覗いてしまったような罪悪感がすごくて……。あ、わたしこれ、ただのファンじゃないのって」
「ファン……」
「でも在花に『協力して!』ってお願いしちゃった手前、言い出せなくて。在花がそんな風に悩んでたなら、さっさと言っとけば良かった」