隣の不器用王子のご飯係はじめました
由梨はもう一度「ごめん」と謝った。
私は胸のモヤモヤが一気に取り払われた感じがして、力が抜けた。
「そうだったんだ……」
「ふふ。それで在花?いつから遠坂くんのこと好きになったの?わたしのこと避けてた時期的に見て、やっぱり体育祭?」
「いつからかって聞かれると正直わかんないけど……気づいたのは……うん。体育祭の日」
「お姫様抱っこ本っ当にかっこよかったもんね!さすがの在花もあれにはクラクラってきたわけね!」
「うーん、どっちかというとその後お弁当渡したときとか、リレーで勝ったの見たときとか──」
「ひゃあ、保健室ではそんなことが……!」
由梨は頬を赤らめて、本当に嬉しそうに私の話を聞いている。
この日私たちは久しぶりに、下校時刻になるまでゆっくり話し込んだ。