隣の不器用王子のご飯係はじめました



由梨はもう一度「ごめん」と謝った。

私は胸のモヤモヤが一気に取り払われた感じがして、力が抜けた。



「そうだったんだ……」

「ふふ。それで在花?いつから遠坂くんのこと好きになったの?わたしのこと避けてた時期的に見て、やっぱり体育祭?」

「いつからかって聞かれると正直わかんないけど……気づいたのは……うん。体育祭の日」

「お姫様抱っこ本っ当にかっこよかったもんね!さすがの在花もあれにはクラクラってきたわけね!」

「うーん、どっちかというとその後お弁当渡したときとか、リレーで勝ったの見たときとか──」

「ひゃあ、保健室ではそんなことが……!」



由梨は頬を赤らめて、本当に嬉しそうに私の話を聞いている。

この日私たちは久しぶりに、下校時刻になるまでゆっくり話し込んだ。


< 110 / 251 >

この作品をシェア

pagetop