隣の不器用王子のご飯係はじめました



「そっかあ。高校生で一人暮らししてるのって珍しいから、てっきり家族と仲悪いのかなとか、厳しいご両親だから一人暮らしさせられてるのかなとか色々考えちゃったよ~」

「いえいえ!家族とはすごく仲良いですし、厳しいどころかむしろ甘いぐらいです。このアパートも、『高校に通うだけであんなに時間使わせるのはかわいそうだ』ってことでお父さんが見つけてくれたんです」



毎日車で送り迎えでも良いって言ってくれたけど、両親は二人とも忙しいからそれは憚られた。

それにもともと憧れがあったから、不安ではあったけど一人暮らしをすることに決めたのだった。



「それで、その実家から手伝いを頼まれているので、夏休み前半は帰ることにします。八月の中旬には戻って来るつもりですけど……。あの、さすがにご飯何週間分も作り置きしておくわけにはいかないので、簡単なレシピ教えておきましょうか?」

「そっか、ありりんが実家に帰ってる間はご飯作ってもらえないもんね……」

「いいよ。小野山さんにそこまで迷惑かけられないし、どうにかする。ゆっくりしてきて」


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