隣の不器用王子のご飯係はじめました



遠坂くんは一瞬表情を暗くしたけど、すぐに私を安心させるように力強く言った。

そして話題は私の実家のことに移る。



「もしかしてさ、ありりんの料理が野菜中心で健康的なの、小さいときから野菜に囲まれてたから?」

「はい、そうなんだろうと思います。野菜が苦手な親戚の子がいたんですけど、その子にどうにか食べてもらおうと工夫するうちに、野菜料理のレパートリーばっか増えちゃいました」



それに、うちで採れる野菜はどれも美味しくて調理するのが楽しかったから、料理は自然と好きになった。

ああ、考えてるとうちの野菜が恋しくなってきたなあ……。



「小野山さんは、家業を継いだりとかするの?」

「え?ああ……それはたぶんないかな」



いきなりそんなことを遠坂くんに尋ねられて、私は首を振った。



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