隣の不器用王子のご飯係はじめました
イケメンでファンクラブができちゃうぐらい女子に人気なことも、
成績が良くてテストでは毎回必ず学年10位以内に入っていることも、
気安く声をかけようものなら氷のような瞳で睨まれてしまうことも、
運動神経が良いのに部活にも入らず放課後はすぐに帰っちゃうことも。
ぜーんぶ由梨から聞いてます!
……なんて言うことはできないので。
「言われてみれば、見かけたことはある、かも?です」
そう答えるのが精一杯だ。
「ふうん。ひろもそんな感じ?ありりんのこと見たことある?」
さすがに私のことは知らないだろうな。一年の時もクラスは違ったし。
だけど、その予想は裏切られた。
遠坂くんは手に持っていたお皿を置き、少し首を傾げる。
「小野山在花さん、でしょ?1組の」
「……え?」
「俺、2組だから。隣のクラス」
「そ、そうなんだ」