隣の不器用王子のご飯係はじめました
え、待って……
遠坂くん、もしかして隣のクラスの人までちゃんと把握してる……?
私は隣のクラスの王子様に認知されていたということに気が動転して、さらに何かを言おうと口を開きかける。
だけど、それより前に遠坂くんがお皿の肉じゃかをじっと見ながら言った。
「食べてもいい?」
「え、はい、どうぞ……」
レナさんも、「ありりんの料理久しぶりー」と言いながら手を合わせる。
まあいいや。
というかちゃんと口に合うかな……。何だろう、すごく緊張する。
ちゃんと味見はしたし大丈夫だと思うんだけど。
そうか、考えてみればレナさんへのおすそ分けもいつもは渡すだけで帰っちゃうし、作ったご飯を目の前で家族以外の誰かに食べてもらったことなんてほとんどないんだ。
クラスの子に手作りクッキーを配ったり、由梨にお弁当を分けてあげたりしたことがあったぐらい。
ドキドキしながら二人の反応を見守る。
一口食べたレナさんは、はああっと大きくため息をついた。