隣の不器用王子のご飯係はじめました



こんな何てことない会話をしていると、帰って来た感じがするなあ。

もちろん実家は落ち着く場所なのだけど、レナさんの部屋でこうして過ごす時間も、いつの間にか同じぐらいに落ち着けるようになっていた。



「そういえばありりん、今日帰って来たってことは明日の花火は見に行くつもりなの?」




カレーを食べながらカレンダーを見たレナさんが、ふとそんなことを聞いた。




「花火、ですか?」

「あれ、知らなかった?まあそんな有名な花火大会でもないけどね。このアパートからは見えないし」

「ああ、それは残念」

「会場まで行ってみたら?」



レナさんにそう言われて、それなら由梨を誘ってみようかな、と思い浮かべる。

だけど、補講で疲れ切っているらしい由梨を人込みに連れ出すのはかわいそうだ。



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