隣の不器用王子のご飯係はじめました
「……花火は見たいですけど、一緒に行く子もいませんし。今年はやめておきます」
「え?ひろと行けば?」
「え?」
さも当然のように提案され、どきりとする。
驚いたのは遠坂くんも同じようで、ガチャンとスプーンを落としていた。
「え?何で俺が」
「だって、ありりん行きたがってるよ?どーせ暇でしょ?」
「いや、だけど小野山さんは俺と行きたいわけじゃ……」
「と、遠坂くん!」
私はドキドキと心拍数が速まっていくのを感じながら、遠坂くんの言葉を遮って言った。
「行きたい!あの、私遠坂くんと花火見に行きたいです!」
「……え?」
「ほら、夏休みの思い出に……。あ、もちろん遠坂くんが嫌じゃなければだけど」
「あ、いや、俺は全く嫌じゃないけど」