隣の不器用王子のご飯係はじめました
お祭りの雰囲気の中で食べると、大抵のものは美味しく感じる。
私たちは焼きそばを始め、フランクフルトやりんご飴、かき氷など気になるものを片っ端から買っていった。
せっかくのお祭り。節約なんて野暮なことは言わない。
「あはは、何も考えずにかき氷まで買っちゃったね。溶けちゃうから先に食べよっか」
私たちは屋台のある通りから少し外れて立ち止まる。
選んだかき氷のシロップは、私がメロンで遠坂くんがイチゴ。
プラスチック製の小さなスプーンで一口すくって食べると、粗く削られたじゃりじゃりの氷が口の中でゆっくり溶けていく。
「ん!冷たくて美味しい」
「うん」
「そういえば遠坂くんは知ってる?お祭りで売ってるようなかき氷のシロップって、色と匂いが違うだけで味は同じなんだって」
「そうなの?」
「試してみる?」