隣の不器用王子のご飯係はじめました
私は披露した豆知識を証明しようと、メロンシロップがかかった自分のかき氷をスプーンですくって、遠坂くんに差し出す。
去年の文化祭のとき、由梨に全く同じ豆知識を話し、こうやって実験した。だから、ついついそれと同じことを遠坂くん相手にもしてしまった。
だけど、女友達相手にするのとは全く意味が違ってくるんじゃないか、と私はすぐに気が付く。
だってこれ、間接キスを勧めているようなものじゃん。
──慌てて引っ込めようとしたけど、遠坂くんはその前に私のスプーンから、何のためらいもなくメロンシロップのかき氷を食べた。
「……やっぱり先入観もあるしメロンの味がするような気がするけど」
「そ、そう?」
どきどきと心拍数が上がるばかりで、言われている言葉が頭に入ってこない。
私の様子がおかしいことには気が付かない遠坂くんが、続けてこんなことを言う。
「小野山さんもこっちのイチゴ味食べてみる?」