隣の不器用王子のご飯係はじめました



「うまーい。料亭の味だー。ありりん天才」

「お、大袈裟な」

「本当だって!まあ料亭で肉じゃがなんて食べたことないけどさー」

「あはは……」



とりあえずレナさんには気に入ってもらえたみたいだ。

一安心して私は遠坂くんの方に視線を移した。


彼は先ほどから何も言わずに黙々と食べている。

きっと食べているときもいつも通りの無表情なんだろうなあ。



そう思っていたけど……。



つい我が目を疑った。



あの誰に対してもクールな遠坂くんが、

表情を無邪気な子どものように明るくして、幸せそうに肉じゃがを頬張っていた。



私はあまりの驚きに目が離せなくなった。

だけど当の遠坂くんは私に見られていることなど意に介していないのか、はたまた単に気づいていないだけなのか、夢中で箸を進め続けている。

みるみるうちに皿の中は空になり、遠坂くんは鍋の蓋を取った。そしてその中を見て、明るかった表情が分かりやすくしゅんとした。



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