隣の不器用王子のご飯係はじめました



さっき私がしたみたいにかき氷をスプーンですくって差し出す遠坂くん。


そのまま食べないでいるのは変な気がして、意を決してパクっとスプーンを口に入れた。



日が沈んできた薄暗い中で良かった。

顔、絶対真っ赤になってる。



「どう?」

「よく……わかんないかも」



メロンのシロップとイチゴのシロップが同じ味なのかどうか。

そんなレベルじゃなくて、まず、今口の中にあるはずのかき氷が甘いのかどうかすらわらない。


遠坂くんは、私が二つの味の違いについて言ったのだと思ったようで、「だよね」と少し笑った。



こんなに冷たいものを食べたんだから涼しく感じるはずなのに、私はかき氷を食べ始める前よりさらに暑くなったような気がした。







ヨーヨー釣りや射的、くじ引きなんかをして遊んでいるうちに、もうすぐ花火の打ち上げが始まるという放送が流れた。

すっかり屋台に夢中になっていた私たちは、花火を見る場所を確保していなかったことに気が付く。



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