隣の不器用王子のご飯係はじめました
さっき私がしたみたいにかき氷をスプーンですくって差し出す遠坂くん。
そのまま食べないでいるのは変な気がして、意を決してパクっとスプーンを口に入れた。
日が沈んできた薄暗い中で良かった。
顔、絶対真っ赤になってる。
「どう?」
「よく……わかんないかも」
メロンのシロップとイチゴのシロップが同じ味なのかどうか。
そんなレベルじゃなくて、まず、今口の中にあるはずのかき氷が甘いのかどうかすらわらない。
遠坂くんは、私が二つの味の違いについて言ったのだと思ったようで、「だよね」と少し笑った。
こんなに冷たいものを食べたんだから涼しく感じるはずなのに、私はかき氷を食べ始める前よりさらに暑くなったような気がした。
◇
ヨーヨー釣りや射的、くじ引きなんかをして遊んでいるうちに、もうすぐ花火の打ち上げが始まるという放送が流れた。
すっかり屋台に夢中になっていた私たちは、花火を見る場所を確保していなかったことに気が付く。