隣の不器用王子のご飯係はじめました
「どうしよう。河原の方とかもう人でいっぱいかな」
「だろうね。……じゃあ、向こうの神社とか行ってみる?」
遠坂くんが提案したのは、屋台でにぎわう辺りから歩いて五分ぐらいのところにある大きな神社。
確かにあそこの境内からでも十分綺麗に見えるはずだ。
ヨーヨーや謎のキャラクターのマスコットといった屋台での戦利品を両手に、私たちは速足で神社へと移動する。
鳥居をくぐった瞬間、ちょうど一発目の花火が大きな音をたてて上がった。
「わあ!始まったね!」
神社の境内は、人っ子一人いなくてめちゃくちゃ穴場……ということはなく、それなりのにぎわいを見せていた。
境内にもベビーカステラの屋台とイカ焼きの屋台がちゃっかり出店している。
とはいえ、河原の方よりはずいぶん空いているし、花火は申し分なく綺麗に見える。