隣の不器用王子のご飯係はじめました



また大きな花火がドンと上がる。


私、花火じゃなくて遠坂くんばっかり見てる気がするな。

それに気が付いて少し恥ずかしくなったとき、遠坂くんが私の方に顔を向けた。


まさか目が合うとは思っていなかったので、驚いて思わず一歩後ろに下がる。

と、下がった先の地面が少しデコボコしていて、バランスを崩しそうになった。



「わ」

「小野山さん!」



遠坂くんは慌てた様子で私の背中に手をまわして受け止めた。


細く見えて、実はしっかりとした腕。

前にも私のことを軽々と抱え上げた腕だ。



「大丈夫?」

「うん……ありがとう」

「小野山さん、何かよく転ぶね」

「うっ、体幹鍛えます……」



遠坂くんの腕と密着している背中が、異様に熱い。

ちゃんとまっすぐに立った後も、遠坂くんは何故か私にぴったりくっついたまま離れようとしなかった。



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