隣の不器用王子のご飯係はじめました
「あの、遠坂くん。もう離れてくれて大丈夫だよ?」
「だめ。小野山さんちょっと危なっかしいから」
「大丈夫だよ!」
「また捻挫したらどうするの」
全く離れる気配がない。
そんな……だってこのままだと、心臓の方がどうにかなってしまいそうなんだけど。
──認めよう。この日、私はずいぶんと浮かれていた。
だから、すっかり忘れていたのだ。
高校に近い場所が会場になっているこの花火大会には、私たちと同じ住沢高校の生徒がたくさん来ているということ。
そして、学校には遠坂くんのファンが大勢いるのだということを。