隣の不器用王子のご飯係はじめました
恋人のフリ
◇
・
「小野山さん。ちょっといい?」
新学期。
教室へ向かう途中、複数の女子に廊下で行く手を阻まれたときは、「本当にこんなことってあるんだなあ」とどこか冷静に思う自分がいた。
一番真ん中で腕を組んでいる子は、髪を巻いて化粧を厚めに施した、いかにも派手な感じ。そんな彼女が私のことを威圧感のある目力で睨みつけている。
「小野山さんさぁ、あなた、遠坂くんの何なの?」
「な、何って?」
「この子がね、あなたが花火大会で遠坂くんと二人でいるのを見かけたって言うのよ」
真ん中の女子が、隣にいるボブヘアーのこれまた派手系の子を示す。
ボブの子はコクっとうなずいて、スマホの画面を見せた。
「これ……」
その画面に映されていたのは、花火大会の会場で、私と遠坂くんが並んで歩いている写真だった。
後ろから撮られたものだけど、横顔が私だとわかるようにバッチリ映っている。
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「小野山さん。ちょっといい?」
新学期。
教室へ向かう途中、複数の女子に廊下で行く手を阻まれたときは、「本当にこんなことってあるんだなあ」とどこか冷静に思う自分がいた。
一番真ん中で腕を組んでいる子は、髪を巻いて化粧を厚めに施した、いかにも派手な感じ。そんな彼女が私のことを威圧感のある目力で睨みつけている。
「小野山さんさぁ、あなた、遠坂くんの何なの?」
「な、何って?」
「この子がね、あなたが花火大会で遠坂くんと二人でいるのを見かけたって言うのよ」
真ん中の女子が、隣にいるボブヘアーのこれまた派手系の子を示す。
ボブの子はコクっとうなずいて、スマホの画面を見せた。
「これ……」
その画面に映されていたのは、花火大会の会場で、私と遠坂くんが並んで歩いている写真だった。
後ろから撮られたものだけど、横顔が私だとわかるようにバッチリ映っている。