隣の不器用王子のご飯係はじめました



振り返ると、ここにいる誰よりも威圧感のある表情で仁王立ちする由梨と、爽やかな笑みを浮かべる杉野くんがいた。

二人は私のことをがっちりと両側から挟み、行く手を阻む女子たちなど存在しないかのような態度で教室へと向かおうとする。



「ちょっ、ちょっと藤田さんたち!まだ小野山さんとの話は終わってないんだけど!!」

「は?」



上ずった声で呼び止める女子たちを、由梨がぎろりと睨んだ。

誰かが「ひっ」と怯えた声を上げる。



「あんたら、死ぬほどダサいわよ。その足りてない頭でもちょっと考えたらわからない?あんたらみたいな性根の腐ったブス、遠坂くんが相手にするわけないでしょ」

「なっ……」



由梨の見下すような笑みに、彼女たちは言葉を失う。

先ほどの私たちの立場が逆転したみたいだ。



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