隣の不器用王子のご飯係はじめました



遠巻きに様子を見ていた数人が、「怖……」とか「かっこいい……」とか「藤田さんになら踏みつけられたい」とか呟いている。一人やばいのいるな。


由梨と杉野くんは、立ち尽くす彼女たちを残し、私をぐいぐい引っ張って教室の中へ入った。



「はあ」



由梨は教室に入るなり深々とため息をつく。



「いるのよね。本気でああいうことする奴ら」

「マジで女子って怖えな。つーか良かったじゃん藤田。悪役顔が役に立ったな」

「うるさいわね」

「あの、ありがとう由梨!杉野くんも!」



私は二人に向かって深々と頭を下げた。

由梨は軽く眉を寄せて言った。



「一応名誉のために言っとくけど、あの子たち、遠坂くんのファンクラブのメンバーじゃないからね。滝川さん、山本さん、石橋さん、中村さん。あとボブカットの子は一年の田中さんね」

「く、詳しい……」

「全員遠坂くんにフラれた子よ」

「ああ」



< 148 / 251 >

この作品をシェア

pagetop