隣の不器用王子のご飯係はじめました
遠巻きに様子を見ていた数人が、「怖……」とか「かっこいい……」とか「藤田さんになら踏みつけられたい」とか呟いている。一人やばいのいるな。
由梨と杉野くんは、立ち尽くす彼女たちを残し、私をぐいぐい引っ張って教室の中へ入った。
「はあ」
由梨は教室に入るなり深々とため息をつく。
「いるのよね。本気でああいうことする奴ら」
「マジで女子って怖えな。つーか良かったじゃん藤田。悪役顔が役に立ったな」
「うるさいわね」
「あの、ありがとう由梨!杉野くんも!」
私は二人に向かって深々と頭を下げた。
由梨は軽く眉を寄せて言った。
「一応名誉のために言っとくけど、あの子たち、遠坂くんのファンクラブのメンバーじゃないからね。滝川さん、山本さん、石橋さん、中村さん。あとボブカットの子は一年の田中さんね」
「く、詳しい……」
「全員遠坂くんにフラれた子よ」
「ああ」