隣の不器用王子のご飯係はじめました
どうやら、大雨の影響とどこかで起きた事故の影響が重なり、遠坂くんの家の方面へ行く電車が軒並み止まっているらしい。
遠坂くんは大きくため息をついた。
「しょうがない。今日は姉さんに泊めてもらうことにする」
「うん。それが良いね」
何と幸運にも、うちの隣はレナさんの部屋だ。
夏休みまではずっと寝泊まりしてたわけだし、遠坂くんにとっては第二の家みたいなものだよね。
私はそう思って、玄関を出る遠坂くんのことを手を振って見送った。
──だけど
「あれ、待ってそういえば……」
昨日今日とレナさんの姿を見ていない。
そうだ、二日前に……。
「遠坂くん!」
私は慌てて玄関を出て、隣の部屋のインターホンを押す遠坂くんを呼んだ。
そして、ある事実を告げる。
「そういえばレナさん……二日前から、大学の友達と沖縄旅行に行ってる……」
「──……え?」