隣の不器用王子のご飯係はじめました



「あれ、でも『しばらくの間』っていうのは?」



あれこれ言い合いを続ける姉弟にそんな疑問を投げかける。

するとレナさんの顔に一気に影が差した。



「あー、ひろはね……今日からうちに泊まり込みでバイト。高校の二学期が始まるぐらいまで」

「バイト?」

「そう、あたしの手伝いやってもらうの。あたし、夏休み終わりぐらいまでずぅーっと修羅場でさ……あはは……」

「夏休みまでずっとって、今まだ5月ですよね?」

「ふふ、スケジュールぎっちぎちに詰めちゃった♡」



ハートマーク付きで言われても。

だけど、大学に通いながら漫画を描くのって大変なんだろうな。



「俺はいつも言ってるけど、ちゃんとアシスタント雇えばいいのに」

「だってひろ、手先は器用だから一人で十分役に立つんだもん」




< 17 / 251 >

この作品をシェア

pagetop