隣の不器用王子のご飯係はじめました
「あれ、でも『しばらくの間』っていうのは?」
あれこれ言い合いを続ける姉弟にそんな疑問を投げかける。
するとレナさんの顔に一気に影が差した。
「あー、ひろはね……今日からうちに泊まり込みでバイト。高校の二学期が始まるぐらいまで」
「バイト?」
「そう、あたしの手伝いやってもらうの。あたし、夏休み終わりぐらいまでずぅーっと修羅場でさ……あはは……」
「夏休みまでずっとって、今まだ5月ですよね?」
「ふふ、スケジュールぎっちぎちに詰めちゃった♡」
ハートマーク付きで言われても。
だけど、大学に通いながら漫画を描くのって大変なんだろうな。
「俺はいつも言ってるけど、ちゃんとアシスタント雇えばいいのに」
「だってひろ、手先は器用だから一人で十分役に立つんだもん」