隣の不器用王子のご飯係はじめました
「……驚きすぎじゃない?」
「だって思ったより近くにいたから……。それより何て言おうとしたの?」
「ああ。迷惑なら断ってくれていいんだけど……小野山さんが料理するところ、見ててもいい?」
「え?料理するところを?」
意外な申し出に私は首をかしげた。
「うん。見てたいっていうか、できれば料理の仕方を教えて欲しい」
聞けば、遠坂くんの家ではお父さんも料理をしないため、ご飯はいつも出来合いの物を買ってくるのだそうだ。
だけどレナさんの所にいる間に私が作る料理を食べるのに慣れたことで、お父さんのいる家に戻ってから手作りの味が恋しくなってしまったらしい。
「でも自分で何か作ろうにも、この前カレーすら上手く作れなかったから。やっぱり一回得意な人に教えてもらいたいなって思ってて」
「なるほど。うん、いいよ。それぐらいお安いご用。簡単なメニュー教えるから一緒に作ってみよ!」