隣の不器用王子のご飯係はじめました
決心




静かになったなと思ったら、隣で小野山さんは小さく寝息を立てて眠っていた。

オレンジ色の柔らかな灯りに、その無防備な寝顔が照らされている。


……小野山さん、俺に襲われるかもしれないとか考えないのかな。

考えないんだろうな、きっと。

そんなこと考えていたら、簡単に『うちに泊まる?』だなんて提案できるはずがない。


信頼されていると捉えれば良いのか、男として意識されていないのだと捉えるべきなのか。


こっちは全く眠れそうにないのだが。


俺は、そっと小野山さんの頬に手を伸ばした。

今日は何度も理性を試されている気がする。


一つの傘に一緒に入った時点で緊張して仕方なかったのに、今度は一つ屋根の下だ。

机が小さいからか勉強をしていたときも妙に距離が近かったし、今はこうして手を伸ばせば触れられるような距離で眠っている。

姉さんの部屋で二人きりになったことはあるが、それとは訳が違う。



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