隣の不器用王子のご飯係はじめました
『友達とそういう話題になったって……ひろ友達いたの?』
「少しはいるし今そこ関係ないだろ。で、知ってる?」
『んー、まずあたしの名前についても知らないや。父さんに聞いてみたら?』
「ろくに会話してない息子からいきなり名前の由来なんか聞かれたら父さんも困惑しそう」
『そっかあ……。あ、そういやあたし来週母さんのとこ帰るし、その時に聞いといてあげよっか』
普段なら、姉さんとの間にに家族の話題が出ると、必要以上に気まずくなる。
だが、この話題に関しては、姉さんが酒に酔っていることが良い方向に働いたらしい。特に気にした様子もない朗らかな口調でそう提案してくれた。
しかい、俺は「いや……」とその提案を断る。
軽く目を閉じ、一度深く気持ちを落ち着けてから言った。
「直接聞くよ」
『へ?』
「来週、母さんのところに俺も付いて行って良い?」
『……えっと、本気?』