隣の不器用王子のご飯係はじめました
「おはよ……」
「あ、おはよう。借りてた服、洗面所に置いておいてよかった?」
「うん……。遠坂くん早起きだね。ちゃんと眠れた?」
あくびをしながらそう問うと、遠坂くんは何故か気まずそうに目を逸らした。
「あー……うん、まあそれなりに」
「そっか。なら良かった」
枕が変わると眠れないなんていう繊細さは私にはないらしい。
床にラグだけ敷いた上でもいつも通りぐっすり眠れるもんだな。
寝起きの頭でぼんやりしていた私は、いつもの癖で、ハンガーにかかった制服を手に取り、着ているトレーナーを脱ごうとした。
「待って、小野山さんストップ!」
「へ?」
「何普通に着替えようとしてるの……」
遠坂くんは慌てた様子で、私から制服を取りあげた。
私の頭の中は徐々に霧が晴れていくようにはっきりしだして、それと比例するように顔が熱くなっていく。