隣の不器用王子のご飯係はじめました




「昨日雨すごかったなー。修学旅行のときもあんな天気だったら悲惨じゃね?」

「そうだな」



あまり雑談をする気分にはなれず、適当に相づちを打つ。



「てかオレ沖縄行ったことないんだよな。先輩から聞いたけど、ホテルとかすごい景色良いらしいぜ」

「へえ」

「だからそのホテルが候補の一つなんだ」

「候補?」

「好きな子に告白する場所の候補」



俺は一気に眠気が冷める心地がして、ばっと杉野の顔を見た。

昨夜、小野山さんの好きな人が杉野ではないかと疑ったばかりで、あまりにタイムリーだ。



「ま、正確には一回成り行きで告っちゃってるから、修学旅行までに返事がなければ改めてって感じになるけどな」

「好きな子が、いたんだ。……誰?」



そう聞いてみるも、まさか教えてはこないだろうと思っていた。

だが、その予想はあっさり裏切られる。



「オレと同じクラスの小野山在花ちゃん。遠坂も知り合いだろ?」



杉野は照れくさそうな笑みを浮かべて言った。



< 198 / 251 >

この作品をシェア

pagetop