隣の不器用王子のご飯係はじめました
「昨日雨すごかったなー。修学旅行のときもあんな天気だったら悲惨じゃね?」
「そうだな」
あまり雑談をする気分にはなれず、適当に相づちを打つ。
「てかオレ沖縄行ったことないんだよな。先輩から聞いたけど、ホテルとかすごい景色良いらしいぜ」
「へえ」
「だからそのホテルが候補の一つなんだ」
「候補?」
「好きな子に告白する場所の候補」
俺は一気に眠気が冷める心地がして、ばっと杉野の顔を見た。
昨夜、小野山さんの好きな人が杉野ではないかと疑ったばかりで、あまりにタイムリーだ。
「ま、正確には一回成り行きで告っちゃってるから、修学旅行までに返事がなければ改めてって感じになるけどな」
「好きな子が、いたんだ。……誰?」
そう聞いてみるも、まさか教えてはこないだろうと思っていた。
だが、その予想はあっさり裏切られる。
「オレと同じクラスの小野山在花ちゃん。遠坂も知り合いだろ?」
杉野は照れくさそうな笑みを浮かべて言った。