隣の不器用王子のご飯係はじめました



レナさんは良いことを思いついたというように、作業机らしき場所から紙の束を持ってきた。

その紙を手渡されたので受け取ると、それはレナさんが描いた漫画だった。



「ありりんには、サトウレナの漫画を雑誌の発売前に一番に読める権利をプレゼントー!……ってどうかな」

「え⁉」

「姉さん、それ図々しくない?自分の描いた漫画が報酬って」



遠坂くんはそう言って顔をしかめたけど、私はぶんぶんと首を振った。



「ううん!すごく嬉しい!私、レナさんの漫画大好きだから!」

「ふふふ……。ひろは知らないだろうけどね、ありりんはあたしの大ファンなのだよ!」

「はい!レナさんの漫画は全部買い集めてます!」



デビュー作から最新作まで。

隣に住む大学生のお姉さんが漫画家だって知って興味本位で買ったのが最初だったけど、すぐにはまっちゃったんだよね。

だから、雑誌にも載る前に特別に読ませてもらえるなんて、何という贅沢!



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