隣の不器用王子のご飯係はじめました
私の答えに、杉野くんはいたずらっぽく唇の端を上げた。
「教えない」
「え……」
「はは、フラれた腹いせの意地悪」
「何それ。……あはは」
私もつられて笑みを浮かべた。
杉野くんがちらりと私を見て、ゆっくり立ち上がった。
「じゃ、オレそろそろ帰るね。……まあこれからも、普通に仲良くしてくれたら嬉しい」
「……うん。修学旅行、楽しもうね」
ふわっと風が吹いた。
夏も終わり、少し冷たくなってきた風だった。