隣の不器用王子のご飯係はじめました
それでも完成は完成。
お皿に盛り付けてケチャップをかける。
うん。それっぽく見えるからよし。
リビングへ完成したばかりのオムライス(仮)を持っていく。
「できたよ。二人の分もあるから冷める前に食べて」
声を掛ければ、母は助けを求めるように姉さんを見た。
だけどその姉さんは何のためらいもなく俺から皿を受け取ったので、諦めたように自分でも受け取った。
俺は二人が手を付けるより先に一口食べてみて、その味に一安心する。
見た目はそぼろご飯のようにも見えるけど、味はちゃんと美味しい。
この家に来てからほとんどしゃべっていなかった姉さんも、「美味しい……」と呟いて俺の顔を見た。
「これ、本当にひろが作った?」
「当たり前でしょ。レシピは小野山さんに教えてもらったけど」
「すご。いつの間に」
褒められて悪い気はしない。