隣の不器用王子のご飯係はじめました



「あの人は料理なんて、全くしなかったから。試してみようとすらしなかった。今でもそうなんじゃない?」

「うん。家ではいつも調理済みの物を買ってきて食べてる」

「でしょう。だからさっき、浩斗が作った料理を食べて、やっぱり貴方はあの人とは違うんだって再認識させられて。それで……」



それで、あの涙というわけか。


……そうか。父に似ているという俺は、今でもずっと母に嫌われたままなのだと思い込んでいた。



「浩斗。貴方にしたことを許してくれとは言わないわ。だけど……できることなら、また貴方と、家族らしい関係に戻りたい」

「……確かに、あの頃は俺も辛かった。だけど──俺は、母さんのことを家族じゃないなんて思ったこと、一回もない」

「浩斗……」

「母さんと父さんは離婚したら他人かもしれないけど、俺や姉さんにとってはいつまでだって家族だから」

「そうよ母さん!」



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