隣の不器用王子のご飯係はじめました




姉さんの言葉に、母が「私に答えられることかしら?」と若干不安そうに首をかしげる。


ああそういえば……。

上手く話を逸らされた感じがするが、追及するのは後にしよう。



「……俺の名前、さ。どういう意味で付けられたのか気になってて」

「名前?ああ“浩斗”ね。礼菜、そのメモ帳の紙一枚ちょうだい」



母は姉さんから小さな白紙を受け取り、ペンで“浩”と書いた。



「正直に言うと、“斗”の字を選んだのにはあまり意味はないのよ。強いて言うなら北斗七星の斗だから少しかっこいいかしらって思ったぐらい。で、“浩”の字なんだけど、これには『広い』とか『豊か』っていう意味があるの。同じ読みをする字の意味を辞典で調べて、これが一番合うんじゃないかと思って」



“浩”という漢字の上に、ひらがなで“ひろ”とふりがなが振られる。




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