隣の不器用王子のご飯係はじめました
『お金ある?足りなかったら言ってね』
「大丈夫大丈夫。あ、お母さんお土産何が欲しい?」
『紅芋タルト!!』
「はーい」
紅芋タルトねえ。
ガイドブックで見たけど、確かにあれも美味しそう。
昔、うちの畑でとれたさつまいもでスイートポテトのタルトを作ったことがあったけど、あれと似た感じなのかな。
私はそれからしばらくお母さんと話した後電話を切って、部屋着以外に買うものはないかリストを見ながら確認し始めた。
その時、テーブルに置いておいたスマホがまた鳴った。
お母さん、何か言い忘れたことでもあったのかな?
そう思った私は、持ち物リストに目を向けたまま、特に画面を確認することもなく電話に出た。
「もしもし」
『……あ、小野山さん?俺。遠坂』
「ふえっ?わ、遠坂くん⁉」
声を聞いてスマホを取り落としそうになる。