隣の不器用王子のご飯係はじめました
「小野山さんのことが好きだ」
……その声は、いつも落ち着いた声で話す彼からは想像できないぐらい震えていた。
「小野山さんに好きな人がいるっていうのは知ってる。だから俺の気持ちは困らせるだけだってわかってるんだけど、どうしても伝えたくなった。ごめん、ものすごく勝手で……」
私は……都合のいい夢でも見てるのかな。
だって、遠坂くんに抱きしめられながら、好きって言われてるんだよ?
ああ、じゃあどこからが夢だったんだろう。電話がかかってきた辺りから?
まあいいや。夢なら夢で。
「私も好き」
夢なら私だってはっきり言える。
その瞬間、私を抱きしめていた力がふわっと弱まった。
かと思うと、今度は勢いよく両肩をつかまれる。
目の前には、頬を赤く染めた遠坂くんの顔があった。