隣の不器用王子のご飯係はじめました
「あの……俺が言ってるのは、友達としてとかじゃなくて、……小野山さんの恋人になりたいとか、そういう意味の“好き”なんだけど……」
肩に食い込む指の感覚に、やっと頭がはっきりしてくる。
あれ、これはもしや……夢ではない?
「遠坂くん、ちょっと肩痛いです……」
「え?あっ……ごめん」
彼はそこで初めて私の肩を強くつかんでいることに気付いたらしく、ぱっと両手を離した。
ああ……こういう不器用さ、遠坂くんって感じだな。
そう思うと、自然と口元が緩んだ。
夢かもしれないと思っていたとはいえ、さっきはちゃんと言えたんだ。
もうこの際、はっきり言っちゃおう。
「私も、その“好き”だよ。もう結構前から、私は遠坂くんのことが好きです」
「え?いや、でも小野山さんには好きな人がいるはずじゃ」
「そ、それどこからの情報なのかわかんないけど……その好きな人っていうの、遠坂くんのことだから!」
「……本当に?」