隣の不器用王子のご飯係はじめました
そうだよね、遠坂くんと付き合うっていうのはそういうことだ。
この学校のたくさんの女子たちを敵に回す。
私は覚悟を決めて、その女子たちに対峙した。
◇
「由梨」
部屋に入った私は、しっかり大浴場を満喫して戻ってきていた由梨の名前を静かに呼んだ。
ベッドに寝転がりながらスマホをいじっていた由梨は、私の表情を見て、にやりと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「あらあら在花。その顔はどうやら、洗礼を受けて来たみたいね」
「洗礼、ね。やっぱりあの人たちは由梨の仕業なの⁉ねえ、ちゃんと説明して!」
私の責めるような口調にも、由梨は少しも顔色を変えない。
やっぱり。由梨はあの女子たちのことがあるとわかっていて、私を一人で部屋に戻らせたんだ。
「甘いのよ在花は。わたしのずっと大好きだった遠坂くんと付き合っておいて、単純におめでとうで済ませるわけないでしょ。残念、わたしのことを信用しすぎたわね」
「怖かったんだよ?本当にっ……!まともに話したこともないような女子たちにあんな風に囲まれて!部屋に連れ込まれて!」