隣の不器用王子のご飯係はじめました
私は先ほどの出来事を思い出して、ぶるりと身震いする。
「──……全員でクラッカー鳴らして『おめでとう!』なんて、本当にもう、めちゃくちゃ怖かったよ⁉」
数分前。
あの女子たちに連れていかれたのは、リーダー格の女子が泊まる部屋だった。
何をされるんだろう。不安に思っていると、リーダー格の女子が静かに尋ねてきた。
「小野山さん、遠坂くんと付き合い始めたという話は本当?」
「う、うん。本当だけど……」
「皆、聞いたわね。どうやら本当らしいわ。やっちゃって」
それが合図だった。
周りから一斉に、──パンパンっとクラッカーを鳴らされたのだ。
「おめでとう!」
「本当に遠坂くんの心を射止める女子が現れるなんて!」
「ええ?あたしは体育祭のときのお姫様抱っこで可能性あるかもなって思ってたよ」
「そうだよ~。だって明らかに小野山さんと話してるとき表情優しかったし」
「小野山さん!うちらの遠坂くんを、どうか末永くよろしくお願いします!!」