隣の不器用王子のご飯係はじめました



隣の部屋の女子大生が遠坂くんのお姉さんで、昨日は作りすぎた肉じゃがを二人に振る舞い、今日からも毎日夕飯を作ることになった……というのは黙っておくことにした。

色々と追及されて面倒なことになりそう。



「ふうん。まあ毎日自分でお弁当作るっていうのも大変そうだしね。たまにはコンビニ弁当で手抜きも良いんじゃない」



由梨はそう言って、自分もコンビニで買ったらしい菓子パンを鞄から取り出す。



毎日は飽きるけど、味の濃いコンビニ弁当もたまに食べると美味しい。

同じく美味しそうにパンを頬張っていた由梨だったけど、ふと廊下の方に目をやって、何やら慌てだした。



「わわわ、あ、在花ぁ、とととと……」



その慌てぶりにつられて私も廊下の方を見ると、そこに遠坂くんがいた。

1組前の廊下にいるということは、中庭から外階段を使って戻ってきたのだろう。



由梨がここまで慌てている理由は、廊下を歩く彼が1組の教室の中をじっと見ていたからだ。


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