隣の不器用王子のご飯係はじめました
私も何となく遠坂くんを見ていると、窓越しに目が合った。
そして──
「!」
遠坂くんはわずかにほほ笑んだ。
私は驚いて、反射的に目を逸らしてしまう。
「あ、在花っ……!ななな何か遠坂くんがわたしの方見てるっ!微笑みかけられたんだけど何で⁉」
テンションがおかしくなっている由梨が私の手をバシバシ叩く。
……あれ、もしかして私を見て笑いかけたわけじゃなかった?
私はそのことに気が付いて、もう一度顔を上げて廊下を見る。
だけど、そこに遠坂くんはもういなかった。
私はふと気になって、大興奮の由梨にこんな質問をした。
「ねえ、由梨はさ、遠坂くんと付き合いたいって思ったりするの?」
「へっ⁉ままままさか!ファンクラブメンバーは告白しちゃだめって掟あるし!」
由梨は顔を真っ赤にして否定していたけど、声を小さくしてこう続けた。