隣の不器用王子のご飯係はじめました



「でもまあ……できることならそりゃあ……」



ごくりと息をのんだ。

照れたようにうつむく由梨は、完全に恋する乙女の表情をしていた。







白いご飯と具沢山の味噌汁、白だしを使った簡単だし巻き卵。

あとは小松菜のおひたしとサバの塩焼。


完成してから、少し渋かったかなあ……と心配になったけど、隣の部屋にいる二人は目を輝かせて喜んでくれた。



「すっごいなぁ。こんなThe和食みたいなメニュー最近食べてないないもん」



レナさんは相変わらず呼吸をするように褒めてくれる。

そして遠坂くんはやっぱり何も言わないけど、表情を見ているとわかる。今日のメニューも気に入ってもらえたみたいだ。


料理が全体の半分ぐらいなくなった頃、今まで黙っていた遠坂くんが「ねえ、そういえば」と私を見た。



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