隣の不器用王子のご飯係はじめました
「小野山さん、今日昼休み廊下に俺いたの気付いた?目が合ったと思ったら思いっきり下向かれたんだけど」
「え、あ、あれやっぱり私の方見てた?」
「うん。というか、小野山さん以外誰がいるの?」
そこはかとなく不満そうに言われ、私はとりあえず一言謝る。
同時に思い出される昼休みのこと。
目が合ったと大興奮だった由梨(どうやら見られていたのは私らしいけど)に、よほどこっぴどくフラれたのか顔を両手で覆って走り去っていった一年生の女の子。
由梨に聞いても確かな答えが得られなかったことを、せっかく本人が目の前にいるからと聞いてみることにした。
「遠坂くんはさ、誰かと付き合ったりしないの?今日可愛い後輩の子に呼び出されてたよね」
聞かれた遠坂くんはわかりやすく嫌そうな表情をした。
「……何で知ってるの?」
「廊下から中庭が見えたから。あ、あと噂で聞いたの。遠坂くんは色んな人に告白されてるけど誰とも付き合ってないって」