隣の不器用王子のご飯係はじめました
「在花、尾行しよう」
「え⁉さすがにやめておいた方がいいんじゃ……」
「お願い」
震える声でお願いされて、私は大きくため息をついた。
それで由梨の気が済むのなら協力してあげよう。
……まあ、私も気にならないわけでもないし。
つい先日、かなりの人見知りが発覚した遠坂くん。
嘘をついているようには見えなかったから、付き合ってる人はいないものだと思っていたけど……。
私たちは適当な店を眺めるふりをしながら、遠坂くんたちと距離を詰めていく。
二人はずいぶんと親しげで、女性の方が遠坂くんの腕にしがみついたりしている。もちろんそれを見た瞬間の由梨は鬼のような形相だった。
「ぐぐぐ……もうちょっと近くで見たい。というか顔を確認したい!」
「もうちょっと近付いても大丈夫じゃない?あ、本屋さんの方に入っていったみたい」
「よし、わたしたちも行ってみよう」