隣の不器用王子のご飯係はじめました



私に気付いたレナさんが、いつも通りの底抜けに明るい声をあげた。


私の後ろで「えっ⁉」と驚いている由梨が私の肩をバシバシと叩く。



「あ、在花、まさか知り合い?」

「えっと……うん、まあ」



どう答えようかと悩んでいるうちに、レナさんの隣にいた遠坂くんも顔を上げた。


あ、待って遠坂くん……!お願い由梨の前で何も言わないで!

もし知り合いであることを由梨に知られたら、ものすごく面倒なことになるのは目に見えている。


必死に念を送るなどしてみたけど、残念ながらそれが通じることはなかった。



「本当だ、小野山さんだ。もしかして小野山さんも姉さんの新刊見に来た?全巻集めてるって言ってたし」



あああああ……

思いっきり名前呼ばれてちゃった。

しかも前からちょくちょく話していたかのような口ぶりで……。



私は恐る恐る由梨の方を見る。

由梨は、せっかくの美人も台無しの呆けた表情で、口元を押さえながら私たちのことを交互に見ていた。


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