隣の不器用王子のご飯係はじめました
「大丈夫?ちょっと顔色悪くない?」
「……へ?い、いやいや全然!めちゃくちゃ元気!」
「そう?なら良いけど」
「うん、元気元気。えっとごめん、ぼーっとして聞いてなかったけど、由梨さっき何か言ってたよね」
私がそう聞くと、由梨は少し恥ずかしそうに目を逸らして言った。
「いや、だからね……。わたしも在花に仲介してもらって遠坂くんとお近づきになれないかなって」
「ああ……」
「その、わたしの手料理も食べてもらえたりするのかなって……!在花ほどじゃないけど、わたしもカップケーキだけなら自信あるの!……だから明日、遠坂くんにカップケーキ作って渡すために在花の家にお邪魔したりしちゃ……だめ?」
頬を赤らめ、真剣な表情でそう頼んでくる友達に、嫌だなんて言えるはずがない。
「……わかった。じゃあ明日の放課後、一緒に私の家で作ろうよ」
「わああやった!在花大好き!」
正体不明のもやもやは、とりあえず一度飲み込んでおくことにした。