隣の不器用王子のご飯係はじめました
「美味しい、です」
「ほほ本当?よ、良かった~。まだあるのでお姉さんにも良かったら!」
「うん。ありがとう」
「はあ……良かった……在花、戻ろう」
「もう良いの?あ、じゃあ遠坂くんまた後で」
来た時とは逆に、今度は由梨が私の手を引っ張って私の部屋まで戻る。
そして中に入ると、へなへなと座り込んだ。
「在花ぁ、本当に遠坂くんがいたよぉ」
「うん」
「わたしが作ったカップケーキ、美味しいって言ってくれたわよね?幻聴じゃないわよね?」
「うん」
「どうしよう、わたし、嬉しすぎてどうにかなりそう」
両手で紅潮した頬を押さえる由梨。
ああ……恋してる女の子ってこんなに可愛いんだな。
ぼんやりとそんなことを思った。
「ねえ在花、わたしもっとお菓子の作り方たくさん覚えてくるわ!……そうしたら今日みたいに……遠坂くんに渡すの協力してくれる?」