隣の不器用王子のご飯係はじめました
「小野山さんはクッキー作ったりしないの?」
「へ?クッキー?」
遠坂くんに突然言われて驚く。
どうしてクッキー?
一年生の時にクラスの子たちに配ったこともあるし、確かにお菓子の中では得意な方だけど……。
「えっと、遠坂くんはクッキーが好きなの?」
「そういうわけじゃないけど、去年小野山さん……」
遠坂くんはそこまで言いかけて、何かを思い出したように口をつぐんだ。
「……いや、何でもない。何となく、小野山さんクッキーとか作るの得意そうだなって思っただけ」
「そ、そう?じゃあ今度作ろうかな。……由梨と一緒に!お菓子作るの得意みたいだし」
一応由梨の名前を出しておく。由梨のことを応援してあげるって約束したもんね。
すると遠坂くんは、少し複雑そうな表情を浮かべた。