隣の不器用王子のご飯係はじめました



しゃべったのは初めてだったはずなのに、遠坂くんは私の名前をフルネームで言い当てた。


自分で言うのもあれだけど、私はクラスでもあまり目立つ方ではない。

知らない人に覚えられていた場合は、大抵「藤田由梨の友達」として把握されている。


だから、そんな私のことを知っていた遠坂くんは、隣のクラスのメンバーまでみんな覚えてるものだと思っていたのだ。

でも彼は有名で目立っているはずの由梨のことさえ知らなかった。





──どうして遠坂くんは、私のことを知っていたんだろう。


< 55 / 251 >

この作品をシェア

pagetop