隣の不器用王子のご飯係はじめました
ああ、良い人だな杉野くん。
というか貴重な昼休みの15分を私のために使ってもらっちゃって申し訳ない。
そう思いながら数学の教科書類を片付けていると、コンビニの袋を持った由梨が私の席までやってきた。
「ありかー!ご飯食べよ!ん?在花の隣、杉野なんだ。杉野、わたし在花とご飯食べるから邪魔。どいて」
「おいおい、ひっでえな藤田。ここオレの席」
「貸してくださーい」
「嫌でーす。オレも今日はここで食うから。前の席の椅子つかってないだろ。それ使えよ」
「ええ……在花と二人でガールズトークの予定だったのに」
「良いじゃん。オレも小野山さんと話したい」
傍から聞いていても仲の良さがうかがえる二人のやり取りに、ほっこりして思わず笑みがこぼれる。
「由梨と杉野くんは、このクラスになる前から知り合いだったの?」
「中学が一緒でね。しかも三年間同じクラスだったの。高校も一緒だけど去年はやっと離れたと思ったのに、また今年一緒なんだもんね」
「腐れ縁だよな」