隣の不器用王子のご飯係はじめました



遠坂くんが私の言葉を遮って名前を呼んだ。

あ、やばい。しゃべりすぎた?


遠坂くんは静かに食卓を見下ろして言った。



「杉野のことより、もうこれ食べて良い?」

「あ、ごめん……。お腹空いてるよね。食べよう」

「いただきます」



失敗失敗。

そりゃあ私が杉野くんにお世話になっていた話とかどうでも良いよね。


私は、よく煮込んだロールキャベツをお箸でひと口大に切り、口に運ぶ。

噛むと、中から肉汁がじゅわっとあふれ出し、キャベツの甘味とコンソメ味のスープが混ざり合う。

うん、ちゃんと美味しくできた。

煮込んだコンソメスープにも、キャベツの味がしっかり溶け出している。


私はちらりと遠坂くんに目を向ける。

相変わらず何も言わないけど、美味しいものを食べたときの表情だけは実にわかりやすい。

ぱあっと顔が明るくなって、夢中で食べ進めていく。やっぱりちょっと可愛い。



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