隣の不器用王子のご飯係はじめました
それから気になって、私は遠坂くんに目を向ける。
遠坂くんは肩で息をしながらTシャツで汗をぬぐっている。
ファンクラブの皆さんは各々スポーツドリンクなんかを差し出しているけれど、遠坂くんはそれを素通りして自分の荷物の中からペットボトルの水を取り出して飲んだ。
「遠坂くんっ!お疲れ様!」
「すごく速かったよ!2位おめでとう!」
ファンクラブの女子たちの声には相変わらず答えない。
だけどいつもの冷たい表情とは少し違って、唇を噛んでどこか悔しそうにしているように見えた。
◇
その後も特に問題なく競技は進んでいく。
ちなみに唯一私も参加した大縄跳びでは、うちのクラスは10クラス中6位という何ともパッとしない結果に終わった。
だけどこれさえ終わったら、この後私がやるのは実行委員としての仕事だけ。
次の仕事は、現在行われている障害物競走の後片付けだ。